梅雨入り
中国地方もとうとう
梅雨入り、これからは鬱陶しい日が続く。
しかし梅雨の時期の気温が、日本人のカラダには最も優しいそうだ。
生きていると季節の節目節目に想い出が溜まるものだが・・・
あれはまだおいらが10代の頃の事だ。
ゴールデン・ウイーク明けのある日、
友人から相談を持ちかけられた。
隣りの女子大の女の子を好きになったが、
どうしても声をかけられないらしい。
話によると、彼はその子がどの寮に住んでいるかも知っていた。
こうなると話が早い。
電話だ!
(同じ寮に先輩の彼女も住んでいたのだ)
・・・しかしながらこいつ、見た目はイケてるもののなかなかシャイなヤツで、
電話をかける決心をさせるまで1週間もかかってしまった。
そしてやっとのコトで電話ボックスに足を運んだものの、
こんな時に限って
「使用中」。
そして電話ボックスが空いている時に限って
「今日は踏ん切りがつかない」だと・・・。
そんなこんなで1ヶ月を経過し、
応援が「脅し」に変わりつつあった頃、
晴れて彼は念願のデートの約束にこぎつけた。
そして初デートにも同行を頼まれたものの、
彼はそこで
見事に「交際」を成立させた。
祝杯を交わした夜、テレビのニュースが
梅雨入りを告げていた。
暫くは幸せそうな2人だったが、
1ヶ月もしないうちに再び彼から相談を持ちかけられた。
彼が言うには
「手が白魚みたいじゃない」・・・・えっ、手?
おいらからすると、普通の綺麗な手だったし、
羨ましい以外の何モノでもない彼女だったのだが・・・。
どうやら彼は相当な
「手フェチ」だったらしい。
今度の相談には全く役に立つことができなかった。
ただ
「価値観の違い」という言葉を初めて実感する事ができた。
そして彼があっけなく「彼女いない歴」を再スタートした日、
おりしも
梅雨明け宣言が発表されていた。
あれから20数年経ったが、
梅雨入りのニュースを聞くたびに
「手フェチ」の彼を思い出す。
今は実家の跡を継いで、社長と呼ばれているらしい。
また会う機会があればいいのだが・・・
久々に
お馬鹿な頃の思い出話をしたいものだ。
その時は社長夫人の「白魚のような手」も鑑賞させてもらおうかな。
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