梅雨入り

ありんくりん

2006年06月08日 23:46



中国地方もとうとう梅雨入り、これからは鬱陶しい日が続く。
しかし梅雨の時期の気温が、日本人のカラダには最も優しいそうだ。

生きていると季節の節目節目に想い出が溜まるものだが・・・

あれはまだおいらが10代の頃の事だ。
ゴールデン・ウイーク明けのある日、
友人から相談を持ちかけられた。

隣りの女子大の女の子を好きになったが、
どうしても声をかけられないらしい。

話によると、彼はその子がどの寮に住んでいるかも知っていた。
こうなると話が早い。電話だ!
(同じ寮に先輩の彼女も住んでいたのだ)
・・・しかしながらこいつ、見た目はイケてるもののなかなかシャイなヤツで、
電話をかける決心をさせるまで1週間もかかってしまった。

そしてやっとのコトで電話ボックスに足を運んだものの、
こんな時に限って「使用中」
そして電話ボックスが空いている時に限って「今日は踏ん切りがつかない」だと・・・。

そんなこんなで1ヶ月を経過し、応援が「脅し」に変わりつつあった頃
晴れて彼は念願のデートの約束にこぎつけた。

そして初デートにも同行を頼まれたものの、
彼はそこで見事に「交際」を成立させた。
祝杯を交わした夜、テレビのニュースが梅雨入りを告げていた。

暫くは幸せそうな2人だったが、
1ヶ月もしないうちに再び彼から相談を持ちかけられた。
彼が言うには「手が白魚みたいじゃない」・・・・えっ、手?
おいらからすると、普通の綺麗な手だったし、
羨ましい以外の何モノでもない彼女だったのだが・・・。
どうやら彼は相当な「手フェチ」だったらしい。

今度の相談には全く役に立つことができなかった。
ただ「価値観の違い」という言葉を初めて実感する事ができた。

そして彼があっけなく「彼女いない歴」を再スタートした日、
おりしも梅雨明け宣言が発表されていた。

あれから20数年経ったが、梅雨入りのニュースを聞くたびに
「手フェチ」の彼を思い出す。
今は実家の跡を継いで、社長と呼ばれているらしい。

また会う機会があればいいのだが・・・
久々にお馬鹿な頃の思い出話をしたいものだ。
その時は社長夫人の「白魚のような手」も鑑賞させてもらおうかな。

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