2006年08月27日
球児が泣いた日
今日「JFK」というお遊び風な記事を書いたんだけど、
どうしても藤川投手には帰って来て欲しかった。
その藤川投手が今夜の対ジャイアンツ戦で復帰を飾ったのだが、
ヒーローインタビューの時に涙を流し、言葉を詰まらせるシーンがあった。
藤川投手がヒーローインタビューで涙を流したのは
あと一歩で勝利を逃し続け、
シーズン終盤にやっと勝利した2002年9月11日以来だと思う。
当時の彼は背番号「92」を背負っていた。
彼が何とか発した言葉「苦しいです」の意味は何だか判るような気がする。
98年、ドラフト1位で入団した彼は度重なる故障に泣いていた。
そのダイナミックなフォームが肩に大きな負担をかけていたのだ。
2年後の00年には厄払いの為、
入団時に貰った背番号「30」を「92」に変更した。
この頃から彼は1軍のマウンドに登っていたものの、
いつも勝利投手目前の4・5回になるとスタミナ切れで打ち込まれ
挙句の果てに肩を壊す・・・そんなシーズンが続いていた。
愛妻と子供のため、すべてを賭けよう、と思っていた04年のシーズン、
またしても怪我で二軍生活を送っていた彼に、思いがけない出会いが待っていた。
元阪急のエース・山口高志二軍コーチだった。
山口コーチは「おまえはこんなところにいる選手じゃない」と前置きしたあと
小さな動きで最大限の球速を出す知恵を彼に授けたのだ。
このアドバイスによって生み出された新しいフォームが
その後彼に転機をもたらすことになる。
弱点だった「スタミナ切れ」を逆手にとって
短いイニングで力を出し切るセットアッパーに転身したのもこの頃だ。
一時は引退も考えていたというこの年の終盤、
対中日戦で無死満塁でマウンドに立ち、
三者三振に仕留めた「変貌ぶり」は忘れられない。
翌05年、背番号を「22」に変え、
「JFK」の柱として登場してからの活躍については
もう知らない人はいないだろう。
・・・・・・・・
こんな道のりを歩んできた男だ。
スタミナ系クローザーの久保田投手が故障し、
久保田投手と同じものを求められた時
ちょっとした肩の異変にナーバスになってしまうのは仕方がないと思う。
ましてや彼が「寝違え」で登録を抹消されている間に、
チームは優勝争いするには程遠い状況となっていた。
今夜、涙を流した彼の頭には
ここまでの出来事が走馬灯のようによぎっていただろうと思う。
おかえり、球児。
ホームランは打たれちゃったけど、
君が全力投球する姿こそ、「甲子園になくてはならないもの」だ。
これからはグローブに縫い付けてある文字を
「本塁打厳禁」から「寝違え厳禁」に替えておいてくれ。
(今回の寝違えは肩の筋肉の硬直が原因らしい)
8月の負け試合なんて、もう全部忘れちゃったからさ。
子供の頃、マジックで胸に「Tigers」背中に「22」と書いた半袖シャツを着て
毎日野球に明け暮れていたおっさんの戯言でした。
Posted by ありんくりん at 22:30│Comments(3)
│スポーツじょうぐー
この記事へのコメント
こんばんは☆
球児の変わらぬ素晴らしいストレートの球…そして球児の涙…
私ももらい泣きしました…阪神ファンでよかった…
一歩一歩 確実に歩んでいってほしい阪神…
球児の変わらぬ素晴らしいストレートの球…そして球児の涙…
私ももらい泣きしました…阪神ファンでよかった…
一歩一歩 確実に歩んでいってほしい阪神…
Posted by かじゅ at 2006年08月28日 20:44
中日との現実から、見ない振りをして高校野球に余韻にいつまでもひたっていましたが、この日の球児の投球は久しぶりに熱いものがこみあげてきましたね。
今回の3連戦は、前回の借りを。
今回の3連戦は、前回の借りを。
Posted by へのうし at 2006年08月28日 23:52
>かじゅさん
実はあの涙には、
心無い野次を飛ばすファンに対してこみあげる気持ちもあったんだろうなぁ・・・
と多少複雑な気持ちもあったんですよ。
だから最後に早実・斎藤くんの青いタオルを見せびらかしておどけている姿に
救われた思いがしました。
>へのうしさん
阪神タイガースには「優勝できるか否か」といった価値観では計れない
ドラマがありますよね。
今回のドラマが次の3連戦にどんな影響を与えているか
楽しみにしています。
実はあの涙には、
心無い野次を飛ばすファンに対してこみあげる気持ちもあったんだろうなぁ・・・
と多少複雑な気持ちもあったんですよ。
だから最後に早実・斎藤くんの青いタオルを見せびらかしておどけている姿に
救われた思いがしました。
>へのうしさん
阪神タイガースには「優勝できるか否か」といった価値観では計れない
ドラマがありますよね。
今回のドラマが次の3連戦にどんな影響を与えているか
楽しみにしています。
Posted by ありんくりん at 2006年08月29日 00:09